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ヤクザときどきピアノ

¥1,650 税込

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鈴木智彦/CCCメディアハウス
単行本:四六判 172ページ

『サカナとヤクザ』『ヤクザと原発』など、潜入ルポで知られるライターがピアノ教室に! 譜面の読みかたも知らない52歳の挑戦がはじまる。

5年もの時間をかけて書き上げた『サカナとヤクザ』(小学館)を校了した「俺」には、やりたいことがあった。ピアノである。子どもの頃からピアノには淡い憧れがあったが、大人になり、ヤクザ取材を中心に行うライターとして多忙な日々を送るなかで、そんな機会が実現することはついぞなかった。しかし、人生はわからない。校了明けに観た映画『マンマ・ミア! ヒア・ウィー・ゴー』が運命を変えた。ABBAのスマッシュ・ヒットである『ダンシング・クイーン』が流れた時、涙腺が故障したのかと思うほど涙が溢れて止まらなくなった。特徴あるピアノの旋律に直接感情の根元を揺さぶられた。身体が音楽に包まれていた。

ピアノでこの曲を弾きたい。

校了明けのライターにありがちなライターズ・ハイがもたらす万能感に背中を押され、近所のピアノ教室に電話をかけまくった。が、簡単にはいかない。譜面も読めないとわかると、電話口の声は困った様子になる。やはり、50代の未経験者が、いきなりABBAを弾きたいなんて無謀なのか。そんななかで、出会ったのがレイコ先生だった。彼女はきっぱりと言った。
「練習すれば、弾けない曲などありません」
1回30分、月3回で月謝は6千円。ときにヤクザの抗争に阻まれても必死で練習した。憧れの『ダンシング・クイーン』を自分で弾くために。先生の期待に応えるために。
いくつになってもYOU CAN DANCE.
ABBAの名曲に乗せて贈る、ハードボイルド中高年応援ストーリー。

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